【新しい耳】
第32回
テッセラ音楽祭
第2夜
5月13日(土)
16:00開演(15:30開場)
沢田穣治
(コントラバス・作曲)
伊左治直
(作曲・鳴り物・ピアノ)
廻 由美子
(ピアノ)
〜サウダージ・ジャポニカ〜
ゲスト:
新美桂子(歌・朗読)
桑鶴麻氣子(朗読)
会場:サロン・テッセラ
(東京都世田谷区太子堂4−22−6)
新しい耳公式サイト
個性的な出演者たち
沢田穣治 Jyoji Sawada
ショーロクラブの活動を中心に映画、アニメ、舞台、フィールドレコーディング作品の制作、アルバムプロデュースなどその活動領域は音楽が存在する場所すべてといってもよいほどに多岐に及ぶ近年は京都市立藝術大学で修復されたバシェ音響彫刻の研究にも関わり演奏家/作曲家としてロームシアターで公演。2018年には映像作家Vincent Moonとのコラボレーションも果たす。
2020年、京都を拠点に自身の新レーベルUnknown Silenceを始動。「私たちがまだ耳にしたことのない音を日本から世界へ国境を越えて発信する」ことを目的に、音楽家でありオーナーである沢田が理想とするレーベル・イメージを明確化したラインナップを展開中。https://www.unknown-silence.com
伊左治直 Sunao Isaji
現代音楽系の作曲や即興演奏から、ブラジル音楽や昭和歌謡曲のライブなど様々な活動を展開している。これまで日本音楽コンクール第1位、現音作曲新人賞、芥川作曲賞、出光音楽賞、2019年『南蛮劇場―伊左治直 個展』にて佐治敬三賞など受賞。作品集CDに『熱風サウダージ劇場』があるほか、『うたものがたり』『カデルノ童謡集』など。近作に、《ユメノ湯巡リ声ノ道行》(構成・作曲・出演)、鼓童とオーケストラのための《浮島神楽》、ヴィオリンと電子機器による《電気の生活》(作曲・出演)など。https://bokushin.square.site/s/stories/sunao-isaji
廻 由美子 Yumiko Meguri
桐朋学園大学ピアノ科を卒業後、渡米。インディアナ大学音楽学部卒。帰国後、活発なる演奏活動を展開。自由な表現力、生命感溢れるリズム感は圧倒的で、他ジャンルからのオファーも多く、ジャズ、ロック、民謡、演劇、ダンス等とのコラボも多数。国内外で20枚以上に及ぶCDをリリース、多くが「レコード芸術」誌上で「特選盤」に選ばれる。ドイツ、カナダ、イタリア、台湾などの現代音楽祭に招聘されており、海外の作曲家や演奏家からの信頼も厚い。参加公演「浜辺のアインシュタイン」は令和4年度文化庁芸術祭“大賞”受賞。現在、桐朋学園大学音楽学部教授。https://www.yumikomeguri.com/
新美 桂子 Keiko Niimi
1983年生まれ。NHK朝の連続テレビ小説「おしん」第143話で、おしんの姪役を演じる(0歳)。東京音楽大学作曲科卒業後、オランダに留学。ロッテルダム音楽院マスターコースにて作曲の研修を積み、美術家や振付家とコラボレーションしたコンテンポラリーダンス作品を数多く発表。帰国後の2009年、牧神画廊(銀座)発信レーベルpboxx発足。全国各地の美術館ほか施設での企画展関連イベントをプロデュースする傍ら、音楽ユニットを複数結成し自らも演奏する。近年は詩作やデザイン活動にも励んでいる。https://unajist.wixsite.com/kniimi/profile
桑鶴麻氣子
俳優。朗読を中心に活動。舞台や殺陣、緊縛、美術モデル、写真などを経て、音楽と朗読の「み み を す ま す」「アバンギャルドな」シリーズを主催。
Sol Lights Tuningの施術家として、リラクゼーションや女性のお悩み、美容、お祓いなどが得意として好評を得ている。
プログラム
沢田穣治x伊左治直:「おもいでインプロ」(沢田x伊左治)
沢田穣治:「もういいかい」〜ピアノと朗読 (廻x桑鶴x新美)
沢田穣治:「たまたすき」〜柿本人麻呂による歌 (新美x沢田x廻)
伊左治直:「架空映画『熱帯伯爵』のテーマ」(沢田x廻)
休憩
沢田穣治x伊左治直:「さすらいインプロ」(沢田x伊左治)
伊左治直:「小沼純一による4つの詩」(新美x桑鶴x伊左治x沢田x廻)
伊左治直:「ルコウソウ(縷紅草)」(沢田x廻)
沢田穣治x伊左治直:「コドモノカデルノ」童謡集より(新美x伊左治x沢田)
沢田穣治:「石けり」(沢田x伊左治x廻)
〜サウダージ・ジャポニカ〜摩訶不思議な空間へ
さまざまな音楽シーンを越境して活躍するアーティストが集結!
テーマは「サウダージ・ジャポニカ」
風、声、音、匂い、それによって開いていく記憶のヒダ。
5人のアーティストたちが楽器と声だけで、時には寂しく、時には煌めくような、時には少し怖いような、そんな不思議な空間を創り出します。
それぞれの曲を紹介しましょう。
沢田穣治:もういいかい(世界初演)
まるで映像のような沢田の音楽に、廻が「なぜか聞こえてきた声」をつけてみました。夏の日の午後の幻想、ふと聞こえてくる子供たちの声、アレ?あれは小さい頃に遊んだ〇〇ちゃんの声?
沢田穣治:たまたすき
万葉集・柿本人麻呂の歌。廃墟となった近江宮を通り過ぎたときに作った歌、と言われています。言葉のイントネーションが歌となり、寂しくも雄大な世界を表現します。コントラバスとピアノは歌をインスパイアしていきます。
玉たすき 畝傍(うねび)の山の 橿原(かしはら)の
ひじりの御代ゆ 生れましし 神のことごと
樛の木の いやつぎつぎに 天の下 知らしめししを 天にみつ 大和をおきて
あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離かる 鄙にはあれど
石走る 近江の國の ささなみの 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ
天皇の 神の尊の 大宮は ここと聞けども 大殿は ここと言へども
春草の 茂く生ひたる 霞立つ 春日の霧れる ももしきの大宮所
見れば悲しも
伊左治直:「架空映画『熱帯伯爵』のテーマ」
ギター作品の「熱帯伯爵」からのテーマです。伊左治作品独特の、むせ返るような熱帯の香りが濃厚です。セロニアス・モンクから影響を受けた、という伊左治の彫りの深いコード進行と熱帯林を彷徨うようなメロディに加え、沢田と廻のインプロも聴きもの。
伊左治直:「小沼純一による4つの詩」(世界初演)
詩と音楽の出会いによる新たな作品が生まれました。詩人、音楽・文化評論家の小沼純一が4つの詩を書き下ろし、伊左治直はそこから不思議な音を手繰り寄せ、新たな世界をつくり上げました。新美桂子x桑鶴麻氣子のダブル朗読(これがまた不思議でアヤシイ)に加え、即興で紡ぐコントラバスやピアノも「伊左治魔法」にかけられて、いろんな音を出します。
伊左治直:「ルコウソウ(縷紅草)」
原産地メキシコ、と言われる植物で、かわいい花を咲かせるルコウソウ。ラテンな5拍子のリズムにのって沢田と廻がインプロ交えてプレイ!
沢田穣治x伊左治直:「コドモノカデルノ」童謡集より
「カデルノ」はポルトガル語で「ノート」のことです。夢の中で聴く童謡はこんなかな、と思わせる美しさ。CDも出ています!リンクをご覧ください。
沢田穣治:「石けり」(世界初演)
「みんなが遊んでいる時は隅で見ていて、みんなが帰ってしまった夕暮れに、ひとりで石蹴って遊んだ」という沢田。セピア色の写真に写る子供時代のようです。
誰にも「サウダージ(郷愁)」の感覚はあるでしょう。しばしその中で遊んでみてください。