「新しい耳」テッセラ音楽祭の記録❶

海外からのゲストたち

その1

シュテファン・フッソング

(acc)

Photo by H.Ugaya

2007年に立ち上げた「新しい耳」テッセラ音楽祭には、海外からの演奏家たちも登場しました。

その中でも最多はクラシック・アコーディオンの最高峰、シュテファン・フッソングです。

 

第3回(2008年)、第11回(2012年)、第19回(2016年)、第23回 (2018年)と来日演奏し、アコーディオンに彼自身の血を注ぎ込むような熱い演奏で観客を魅了してきました。彼との共演は本当にスリリングで、お互い全ての細胞を目覚めさせ、脳内の隅々までを活性化させ、毎回崖っぷちギリギリまで冒険し、その度に痺れるような感覚を味わいました。

 

フッソングとのデュオはコロナ前まで続き、作曲家の原田敬子、ホープ・リー(カナダ)、デイヴィッド・イーグル(カナダ)に新作を委嘱し、数々の名作を生み出しました!

ドイツ、イタリア、カナダ、台湾などの音楽祭ではテッセラ音楽祭で世界初演された作品を再演し、羽ばたかせていきました。

東日本大地震と原発事故の後に廻とフッソングの2人が原田敬子に委嘱した作品「F.フラグメンツ」は2012年にテッセラ音楽祭で世界初演され、その後新たに録音したものがCD化されて、ドイツの WERGO、キング・インターナショナルでリリースされました。

 

原田氏から楽譜をもらった時の衝撃は忘れられません。

空気にあちこち穴があいて「向こう側」が見え隠れしているような、聴こえないはずの音が聴こえてくるような、時空が捻れてしまって、千年単位で行ったり来たりするような感覚、そしてなんとかして真理へ到達しようとするその強さ、その美しさ、まさに「新しい神話」だと思ったことを思い出します。

 

「F.フラグメンツ」は今ではアコーディオンとピアノの現代デュオ作品として、次世代の演奏家にも受け継がれ、世界中で演奏され続けています。しんり

2016年、第19回音楽祭で世界初演された、フッソング・廻による委嘱作品、Hope Lee:「Imaginary Garden V」は、その後カナダで録音され、廻のHope Lee ピアノ作品CD「across the vailed distance」に収められ、また、フッソングのCD「Imaginary Landscape」にも収められています。


シュテファン・フッソング x 廻 由美子、2人のデュオによる動画をお楽しみください!

アストル・ピアソラ:「レヴォリュシオナリオ」(Revolucionario)

2018年11月3日、第23回音楽祭での演奏です。

テッセラ音楽祭でフッソングと出会え、ここからたくさんの出会いがあり、素晴らしい新作にも出会えることができました。

全てに本当に感謝です!