「新しい耳」テッセラ音楽祭の記録❸

「新しい耳」

テッセラ音楽祭の記録

海外からのゲストたち

その3

ジュリア・スー

(pf)

海外からのゲストたち、第3弾は台湾から来日したピアニスト、ジュリア・スーJulia Hsu)です。ジュリア・スーは第21回(2017年)、第23回(2018年)の「高橋悠治の耳」にゲストとして出演され、ソロ、そして高橋悠治と共に連弾を演奏しました。


高橋悠治とジュリア・スーの出会いは2016年10月に東京オペラシティ コンサートホール・タケミツ メモリアルで開催された「没後20年 武満徹 オーケストラ・コンサート」の時だったと思います。

 

そのコンサートの指揮は故・オリヴァー・ナッセンで、高橋悠治とジュリア・スー武満徹:「夢の引用-Say sea, take me!- 2台ピアノとオーケストラのための(1991)」を演奏したのです。

それにも経緯があり、元々はジュリアとデュオを組んでいたピーター・ゼルキンが来日して演奏する予定でしたが、病気のため来日不可能となり、ゼルキンとは長年交友のあった高橋悠治が演奏することとなったのです。

その時の2人の共演の、海のようにスケールの大きな素晴らしさは今も語り継がれていますが、音楽的に息の合った2人はその翌年にテッセラ音楽祭で共演することとなりました!


テッセラ音楽祭の会場リハーサル。

真剣かつ楽しそうなジュリア・スーと高橋悠治


2017年11月5日、音楽祭の第3夜は「高橋悠治の耳vol.10」は、前半・高橋悠治のソロ、後半・ジュリア・スーのソロ、そして連弾、というプログラムが組まれました。彼女にとって日本で初めてのソロ、となり、武満徹、高橋悠治、ルチアーノ・ベリオ、が演奏されました。

その羽のように軽やかで、色彩感に溢れ、しかも衒いのない音楽に聴衆はすっかり魅了されたのです。


ジュリア・スーによる武満徹:「リタニ」の演奏です。


そしてこちらは高橋悠治との連弾でシューベルト:「ロンド」イ長調

世代を超えてお互いをリスペクトし合い、音楽で会話する2人。 


ジュリア・スーは翌年の2018年11月にも来日し、「高橋悠治の耳vol.11」に出演しました。

当初、別のプログラムを予定していましたが、この年(2018)の7月にオリヴァー・ナッセンが亡くなり、2人で追悼プログラムを組んでナッセンに捧げました。

 

あの、武満徹のコンサートを思い出し、出会いの不思議さ、大切さを改めて思いました。そしてそれは「亡くなった人との対話」、という音楽の大事な役割を思い起こさせてくれる実に美しいコンサートでもありました。

また来日して欲しいピアニストです!